記4

ここは、わたくし(名)キリハラが新ふゆきょうの宣伝をしたり挫折したり
呪いの言葉をぶちまけたり誰彼かまわず攻撃したり
あなたと仲良くなったりするウェブログです。嘘ばかり吐いてゐる。ホ、ホ、ホ。
サンステファノビッチキリハランテ
風人物語 さてと、そろそろ書くこともなくなってきちゃったから、久しぶりにトラックバックボックスでも参加してみようっと!今回のお題は『教えて!お財布とその中身事情』なんだってさ。というわけで、ちょっと恥ずかしいけどキリの台所事情を皆さんに公開しちゃいます!まず一万円札は五千枚くらい入れておかないと不安になっちゃうかな。それとお釣りで返ってきた五千円札と千円札が何枚か。え、硬貨?何それ?キリ、千円未満のお釣りは全部受け取らないことにしてるから、あんな硬くて重いの持ったことないなあ。皆さんはどうしてます、細かいお釣り?普通受け取らないよね。ていうか面倒な時は札ももらわないし。ガム一つ買っても一万円、タクシー乗っても一万円。こういうのって効率的でいいと思いません?
 早くも心がクサクサしてきた。人生に余裕がない証拠であります。
 そろそろヘッドラインに表示される分は書いたと思うので事実に触れておきますと、キリハラの財布はベトナム産大麻(ヘンプ)製の一品で、こすって臭いをかぐと気持ちよくなれます。なれねえよ。なれたら困る。中身は現金が五千円から二億円くらいと、カード類が一万枚程度。カードは全て純金製です。スイカ定期もゲームセンターで使うカードも純金。JRやらコナミに無理言って作らせました。クレジットカードはザンビアとかニカラグアとかセントクリストファーネイビスとか、僻地に行っても通じる一品ばかりです。万が一通じなくてもカードそのものを渡せばおおむね大丈夫。ウェブマネー隆盛期とは言え、やっぱ一番強いのは金ですな。
 かように内容十分なためポケットに入れるには大分重いキリハラ財布、普段は持ち歩かず電話一本入れたら五分以内に執事が持ってきてくれる手はずになっています。ジェットヘリから投下されます。これだから大富豪はやめられない。皆さんもとっとと石油を掘り当てるか宝くじに百万回くらい当選して資産を蓄えるといいですよ。はははっ!
 もう駄目だ。
 にしても人の台所事情にまで突っ込んでくるなんて、トラックバックボックスも下品になったものです。それに乗っかるユーザーもどうなのか。俺?俺はいいんだよ。まあ企画自体が下品だから今更中身がどうなろうと大した問題じゃないのかもしれない。
 トラックバックボックスをお忘れの方のため補足しておきますと、この企画は一つのテーマに沿って記事を書き、そこから指定のURLへトラックバックを飛ばすというものです。すると企画記事の下に参加者からのトラックバックがずらりと並び、そこから人の内情を閲覧するも良し、横の繋がりを増やすも良し、トラックファックスパムの対象にするも良しと、使い方は目的によってよりどりみどり。上手くすれば他ブロガーとのコミュニケーションを加速させられる、ユーザーフレンドリーな企画と言えましょう。個人的にはいけ好かない代物であるものの、時々賞品がついてきたりするので折を見ては参加しています。昨年など美しい友情話をでっち上げて映画試写会の券を手に入れたこともございました。試写会には行けませんでした。『あらしのよるに』というどうでも良いアニメ映画だったので別に後悔はしていませんが、何だか勿体ない気はしないでもありません。機会は全て形にしておくべきであり、逃したら泣き喚いて次こそはと誓いを新たにするのが重畳というところですか。
 それはさておき連れがカナダから帰ってきました。何やら飛行機にチェックインしたにも関わらず席が埋まっていて直通便から他所経由便に振替輸送させられたとか、機内で「ティープリーズ」とお願いしたら紅茶ではなく日本茶が出てきて困ったとか、色々トラブルはあったものの怪我などはなかったとのことで一安心しています。ただ、あちらでは一日を除いてずっと雨が降り続き、体感気温が摂氏零度近くまで下がって凍える思いをしたとのこと。また、カナダ人はお洒落感覚が鈍いのか全身ユニクロで町中を歩いても全く違和感がなかったとか偏見に満ちた感想も聞かせてくれました。まあユニクロファッションで日本の都会に出たって別にいいとは思うんだが。
 で、連れには半年くらい前からCDを三枚買ってもらう約束をしておりました。しかしいつになっても買ってくれる気配がないのでカナダから帰ってきたのを期に遠回しな督促をしてみたのです。そしたらあの野郎、答えて曰く「約束も覚えてるし買い方を説明したメールもちゃんと保存してある」。
 じゃあ買ってくれよ。
 プライドの欠片もない台詞を吐いてみたら近日中に買ってもらえることになりました。とりあえず言ってみるもんであります。そう言えば西原理恵子御大も取材先で百万円もする亀を見つけ、一言「くれ」と発したらば実際に譲ってもらえた経験があるらしい。世の中欲望に忠実な者がいい目を見るのか。嫌な世界だ。頽廃国家日本。皆様もゴネる輩にはご注意されますよう。
| ふゆきょう対奴等 | 14:01 | comments(0) | trackbacks(0) |
フライヤー・ヘッドセット・眼鏡
えすのサカエ 昨日の記事はお忘れ下さい。血迷った原因は?アワビですかな……。
 突然『ボブと愉快な仲間達』のネタを盛り込んだところでお分かりになる読者の方などいらっしゃらないでしょうから粛々と進めます。
 漫画二冊に小説雑誌、CDが二枚届きました。CDのうち一枚は月初に頼んでおいたもので、五日にアメリカはマイアミ倉庫から発送完了、十日から十五日かかって手元に届くとメールには記されていましたが、結局二十日ちょっとかかりました。中途半端な遅れであります。その間CDさんはどこをほっつき歩いていたのでしょうか。飛行機から降りるのを忘れて日米間を二往復くらいしてみたのかしら。いいご身分である。キリハラが成田-マイアミを二往復したらそれだけで残高の数十パーセントが吹き飛んでしまうことでしょう。ああ、生意気なCD。じりじりと待ち焦がれながら督促のメールを出せども返って来るのは定型文のみ。そんなことをしている内にアマゾン。会社。日本からは出品者の評価をせなんだらすごい事になりますよなんて脅しのメールが来たりして(中古業者から買うと彼らの評価をしなければならない)、キリハラもう気が気ではありませんでした。無事に届いたから良かったものの、海外の会社はこういったイレギュラーな事件が時たま起きるのでうっかり信用出来ません。定価より安い分のリスクは背負わなければならない典型例と言って良いでしょう。
 小説雑誌『電撃hp』にはいつだったか記4でも取り上げた『キノの旅』十巻記念ということで各巻に対する作者のコメントがあったりして、へえなんて感心しながら読んでいるところです。
 作者は元々自衛隊志望だったのが試験に落ちてしばしプー太郎を経験して後『キノの旅』で作家デビューを果たした経緯があるらしく、銃火器類に関して異様に詳しく偏執的なのは自衛隊志望当時の趣味が反映された部分もあるのかもしれません。なるほど人生が創作に繋がっている。それではキリハラの人生から小説に突っ込めるものは何であろうか。はたと考えると嫌なことばかりが思い出されるので、とりあえず何もない所から始めるんや、過去は助けにならないんやと自分をたきつけ歯を食いしばって踏みとどまっている次第であります。
 また、単行本でいうと三巻くらいまではアイデアが執筆速度を追い越していたのが六巻くらいになると自転車操業になり、現在も引き続き苦労されているらしい。短編は引き出し勝負ということでしょう。俺も引き出しを増やさねば!なんて思ったりしてレバノン情勢について勉強したり構造主義科学論の本を読んだりしておりますが、本当にこいつらは役に立ってくれるのであろうか。人生の全てがネタの元になるなんて嘘だと思っている悪魔超人にとって、ポジティブな解釈など無意味です。でもとにかく本を読まねば進まんのも事実であって、いつかブレイクスルーが果たされることを願いながら、今は文字を追うことに精を出しつつアウトプットもやって行こうというところです。
 俺の話なんかどうでも良いのだ。
 漫画はえすのサカエの『未来日記』であります。未来日記というタイトルからどこかのバラエティでやっていたクソ恋愛企画を思い出される方もいらっしゃいましょうが、こちらは情の欠片もない現代サスペンスものです。未来が記述される日記を手にした十二人が互いを潰し合い、最後に残った一人が神の座を手に入れられるというゲームのお話で、出てくるキャラクターが駄目人間と異常者と犯罪者しかいないという、文字にしてしまうとひどい漫画です。でもそこに目をつぶれるなら面白い作品ではありますので、お暇な方は読んでみてもそれほど損しないと思います。主人公のストーカーをしているヒロインが一番人気。
 CDは先日の記事に書いたメデスキ、スコフィールド、マーティン&ウッドの新譜と、ミュージック(μ-Ziqと書く。ザ・ミュージックとは別物)の別名儀であるキッド・スパチュラのお蔵出し二枚組であります。前者はレゲエ的気だるさを交えたファンキーなジャムといった印象で、スコフィールド抜きの時代に発売した『シャックマン』というアルバムに近いスタンスです。あと、原点回帰の素振りも見える。同じ面子で十年くらいやっていると、解散か梃入れか原点回帰でもしなければ煮詰まってしまうのでしょう。いや解散しなくて良かった良かった。ロックなんかだとすぐに解散しちゃうからね。それで十年経って再結成なんかする。みっともないことこの上ない。後者については固有名詞ばかりの紹介になってしまうので詳述は避けておきます。宇宙っぽいテクノです。打ち込み音楽が多様化した昨今においてテクノなんてジャンル分けは全く意味を成しませんがお許し願いたい。
 またもや買った物の説明で記事が出来てしまった。
 すごいなあ。
 それからみんな町へ戻り、ビールやコニャックを飲んで愉快に過ごした。
| 悪魔超人の食卓 | 15:02 | comments(0) | trackbacks(1) |
リブ・オン
 本日は予定を変更し、皆さんもうお忘れかも知れない『真夜中に映える色』の第七回をお送りします。我ながらひどい文章だと思いますが、リハビリの一環ということで勘弁していただきたい。

第一回『Night Marchers』
第二回『静止軌道』
第三回『フレアパス(前編)』
第四回『フレアパス(後編)』
第五回『新しい翼』
第六回『雨雲の空』

 次、最終回です。

   七、リブ・オン

 雨が降った翌朝から三日間、高熱を出して寝込んだ。僕がうなされているベッドの脇で如月はひたすら怒り続けていた。こういう時の如月は本当に恐い。どんな言い訳をしても、事実を一つ残らず打ち明けても決して許してくれない。火山が噴火するような感じだ。火山は一度噴火を始めたら気が済むまで噴火をやめたりしない。祈りを捧げようと化学物質を投下しようと、こちらの都合になんか合わせてくれはしないのだ。
「大分ましになってきたみたい」
「そう」
「如月も林檎食べれば?」
「いらないわ」
「テスト近いし、帰って勉強した方が」
「いいえ、ここにいます」
「如月-」
 如月は感情を抑えた目で僕を見、静かに低い声で言う。
「風邪ひかないでって言ったよね」
「風邪じゃなくて、熱出しただけなんだけど」僕は何十回目かの言い訳を返す。すると如月の目が細められて、しなやかな手が不穏な動きで僕の額に伸びる。三日洗っていない前髪をかき上げ、露になった額を彼女のそれに軽くつける。
「まだ熱いわ」
「もう大丈夫だよ。明日から学校も行くし。あ、お風呂入らないと」
「いいえ、まだ駄目。ちゃんと下がり切るまで許さない」
「いや、でも」
「でもじゃないわ」突然如月の声が高く大きくなる。「私、ずっと窓からあなたのこと見てたのよ。雨が降ってきたのに下りなかったことも、それから上のロケットに近づいて跳ね飛ばされたことも全部知ってるんだから。何であんなことしたの? 神なんかどうだっていいっていつも言ってたじゃない。私だって神も『約束の場所』もどうだっていい。睦月にも関わって欲しくない。熱だけで済んだからまだ良かったけど、これでもし私みたいに事故を起こしてたらどうするつもりだったの? 腕をなくす苦しみがどれだけのものか睦月は知ってるの? 睦月まで私みたいになって、空を飛べなくなったら今まで重ねてきた時間だって辛い思い出に変わっちゃうかもしれないの、わかってる?」
 立て続けにそう言って目尻に涙を浮かべる如月は、いつもより一回り小さく見える。そんな彼女を見ていると僕まで泣けてきそうになるから敢えて目線を天井に逸らし、深く三つ息をつく。本当は手を伸ばして涙を拭いたかったけど、払いのけられて気まずくなったら嫌だからやめておいて、代わりに口を開く。
「わかってないから飛んだ」
 如月の息を飲む様子が、気配で感じとれた。
「ごめん。もうしない」
「……ごめんなさい」
「どうして如月が謝るの?」
「私、最近睦月に我がままばっかり言ってるね」
「怒られるのは昔からだから」
 如月は小さく苦笑した。少しは怒りが和らいだろうか。
「先々週の丘でのあれ。あの時から私、思ったことは全部睦月に伝えようって思ったの。そうしないと分からないこともたくさんあるから。でも、慣れてないから何だか全部我がままに思えてきちゃって、睦月にどう思われてるのかすごく気になってた」
「ああ」僕は少しためらってから答えた。「もっと我がまま言ってくれていいから」
「ありがとう」如月は、今度は優しく笑ってくれた。「でも、約束を破ったのは別よ」
「はい」
 冷却シートを額に貼ってもらうと、僕は目を閉じて夜のことを思い出す。どうして興味もない『約束の場所』にわざわざ近づいたのか。心身障害者に手を出そうとしたのか。神に喧嘩を売るような真似をしてしまったのか。勝てるわけがないことは分かっていたはずだというのに。
 多分僕は、神と『約束の場所』に一矢報いることで如月の敵討ちをしようと目論んでいたのだと思う。実際、如月が不具になった大元の原因はそこにあるという確信が心のどこかでくすぶり続けていたのは事実だし、個人的に仕返しをする権利が自分にはあるともずっと思い込んでいた。それで、神を倒すことはできないまでも何かしら邪魔をしてやろうと、子供っぽい思考で夜空に向かったのだ。如月に心配をかけてまで。
 結果がこれじゃ、如月に合わせる顔がない。情けなくて本当のことも告げられない。
「睦月、私の腕のことなんか気にしないでね」如月が、僕の心を見透かしたかのように言う。声音にさっきまでの震えはなく、落ち着いて淡いいつもの調子に戻っている。「あれはたまたまだったのよ。誰のせいでもないし、誰のためでもない。世界のどこかで起きてしまう事故だった。それがたまたま私の所に来ただけ」
「そんなのって」
「いいの」
 そう言うと、如月は僕の上に身体を預けてきた。頬が触れて熱が伝わり、僕の身体に火をともす。
「たくさん辛い思いもしたけど、ずっと睦月が守ってくれたから、いいの。もし私に何もなかったら、こんなに大切にしてもらえなかったかもしれないもの。きっと睦月だって-」
「馬鹿!」如月の言葉を遮って叫んだ。「馬鹿……」
 まだ重い両腕を布団から出して、如月の折れそうな背中を思い切り抱きしめた。その一瞬、如月と一つになって、全てが頭の中に流れ込んで来るような気がした。諦めることで封印してきた希望、ぬぐい去れない劣等感、決して水面に浮かばない卑屈さ、そして僕に対する想い。何重にも絡み合った糸が一気にほどけて、儚い一本一本が流れ星みたいに僕の胸を突き抜けた。
「僕がそんな、変わるわけないだろ」
 気付けば僕は泣いていた。あの夜の無力感とは違う、悲しみとも怒りとも愛しさともつかない感情を込めて、肩を震わせ、顔を真っ赤にして、しゃくり上げながら涙をこぼしていた。
「如月がどんな目にあったって」声が弾けるのが分かる。「何が起きたって、僕、絶対、変わらないよ。ずっと大切に、大事にするし」鼻が詰まって上手く言葉が出て来ない。「今までだって、これからだって、一緒にいるから」僕は必死に絞り出した。「だから、そんなこと考えるなよ」涙が如月の髪に触れて、雨上がりの葉のようにしめやかな流れを作る。「一生守るから。一人で悲しまないでよ」
 如月は震えながら、わずかに頷いた。口を開けかけては何かを飲み込むように閉じる。伝えたいことを言葉にできないような仕草。何度かそれが繰り返されてから、ようやく顔を上げ、涙に濡れた唇を僕の額につけ、消え入りそうな声で一言だけ言った。
「今まで、ごめんね」
 僕は謝って欲しく何かなかったけど、今の彼女の精一杯が詰まっていたから、我慢して再び抱き寄せた。如月は力を抜いて、耳元に顔を寄せてくる。そして何かつぶやくように唇を動かした。その言葉が何だったのか、僕は今でもわからない。

「つまりは上手く行ってるってわけだ」
「上手く行ってるって言うのかな、こういうの」
「私にゃのろけ話にしか聞えないんだがね」そう言って先生はマグカップに口をつけた。
「苦い」
「別にのろけてなんかいないよ。どっちかって言えばどうしていいか分からない」
「何も考えなきゃいいんだよ、そういう時は。私はそうやって乗り切ってきた」
「そう言えば、先生結婚してるんだっけ」
「誰も信じちゃくれないがね」
 それはそうだろう。研究の虫みたいな先生に奥さんがいるなんて、誰だって信じられるはずがない。おまけに相手が美人と来れば尚更だ。
 先生はコーヒーをすすりながら続ける。
「誰だって変化の時期は不安だし未来が恐くなるもんだ。特に恋愛なんてものはね。問題はそこで足踏みするか前向いて一歩を踏み出すか、それだけさ。どちらがいいかなんてやってみなきゃ分からない。だったら少しでも勇気を出して前に進んだ方がいい。違うかい?」
「わからないよ」
「素直でけっこう。だけど、あんまり彼女の前で不安がったりするなよ。そんな馬鹿正直さは犬にでも食わせておけばいい」
 何だか神妙な気分になって、僕はただ頷いた。先生の言う通りのような気もするし、間違っているかもしれない。でも、先生の言葉が適当さから生まれたものではないことだけはわかる。だとしたら、僕もそれなりの態度で受け止めなければならない。
「そりゃそうと、レポート出来た? ついさっき新型送ったから、入れ替わりで今のやつと送り返して欲しいんだけど」
「レポートは今週中に送れると思う。新しいの、出来たんだ」
「出来ましたよー」先生はどこか誇らしげな顔で椅子に座り直した。「今回のは自分で言うのも何だけど力作なんだよ。出力上げて制御系いじってジャイロも……いやまあ届けば分かるからいいか。とにかくちょっとばかり画期的なやつだから、実物見て驚いていただきたいもんだね」
「楽しみにしてる」
「ま、今度は雨の日に飛んで熱なんか出さんことだね。もう神とかはほっときな」
 表情がこわばるのが自分でも分かった。
 先生の言っていることは正論だし納得もできる。でも、納得したからと言って消え去ることのない敵愾心があるのも事実だ。如月の事故から始まったその感情は『約束の場所』を巡る一件で胸の底に根付きつつある。それを自分で止めることは出来ないし、ましてや自分以外の誰かがどうこうなんて考えるまでもない。
 膝に置いた握りこぶしに力がこもる。神という単語を聞いただけで不快感が喉元にせり上がってくる。
 そんな僕を見かねたのか、先生は手元のマグカップに視線を落とした。それからしばしの沈黙を挟んで口を開く。
「神は私も嫌いさ」
 僕がはっとして視線を上げると、先生の穏やかな顔があった。
「神のせいでいらん怪我人や死人が数えきれないくらい出てるし、これからは行方不明者だって増えるだろう。資本も天文学的な数字がここ三十年で無駄に浪費された。政府にしてみれば『約束の場所』がなかったらどれだけ他の大事なことにリソースを割けるか分からない。宇宙にロケットを飛ばすことだって出来たかも知れない」
「だったら-」
「それでも、だ。神にこだわっちゃいけない。あれは人間とは全く違った論理で動いているんだ。そもそも論理と呼べるですらないかもしれない。だから私達がいくら構おうとしてもそれは水面の月を切ろうとするようなもんで、おそらく届くことはないだろう。それなら、私達が生きる条件として飲み込んで行くしかないと思うんだよ。仕方ないって言い方は好きじゃないが、神をいちいち睨んだって馬鹿な政府と変わらないじゃないか」
「分かるけど、実際神を見たらどうしようもないと思う」僕はうつむく。
「如月ちゃんのことを考えな」
「如月?」
「そう。彼女と神とどっちが大事かね」
「如月に決まってる」
「ならいいじゃないか。危なくなったら彼女を思い出せばいい。それできっと我慢できる。少なくとも私はそうしてきたね」
 僕は神をかきあげ、大きく息を吐いた。少しだけ世界が大人しく見える。
「出来るかどうか分からないけど、やってみるよ」
「出来るって」先生は確信ありげに笑って言う。「それより、今度如月ちゃんも連れて来なさいよ。君と来たら、一度も会わせようとしないんだから」
| どうかしてしまった小説 | 23:49 | comments(0) | trackbacks(0) |
包丁鋏ナイフカッタードス俺
渡辺電機(株) 最近復活したプール通い。十月も半ばを過ぎたということでいかに温水と言えど人は減っているだろうという目算の元に混みそうな昼過ぎを狙って行ったら夏前の閑散期と同じくらいの爺さん婆さんが泳いでおり辟易した。婆さんは泳ぐのが遅い。しかも横幅だけはやたらとるので追い抜く時にぶつかったり蹴られたりしてたまらない。若者用に一コース設けてもらいたいところである。しかし秋晴れの平日昼間から区民プールなどを訪れる放蕩者はキリハラくらいものもだから我がままを言う訳にもゆかず、諦めて他人の頭に蹴りを入れてきた。そう、今日は加害者です。
 キリハラは被害者よりも加害者になる方が好きである。それは別にサディスト的志向を持っているとかそういうわけではなく、被害者らしく振る舞うのが面倒だから、出来るだけ加害者になるため努力していると書くとしっくり来るような気がする。如何に自分が虐げられたかについて説明するより、被害者面した人間に責められている方がよっぽど楽だし性に合っているのだ。これは一種の思考放棄ととれるかもしれないが、立脚点としては潔いものでもあると自負している。
 人間は大概被害者になりたがるものだ。時には加害者さえ被害者ぶることもある。何故ならば被害者でいる限り相手を糾弾し続けられるし自分の責任についてはとやかく言われないからだ。身内の小競り合いから国家間の戦争まで、人を責める輩は概して自分が如何に被害者的であるかを語ることに血道を上げる。だから喧嘩で双方が被害者だなんていう矛盾した状態が立ち現れてくる。そして、そのようなケースにおいて問題はほぼ確実に泥沼化し、水掛け論の応酬となり、結局二つの意見は止揚されることなく物別れに終わる。ちょうど、会議が踊れども進まない状況に似ていると思う。はいわかりました私が責任をとりますから決議はこれで、といったことを言い出す人間がいないわけである。
 だからと言ってキリハラが決断力と責任感に満ちた人間だと主張するつもりは毛頭ない。実際違うし。ただ、加害者-被害者の二者択一になった場合は加害者を買って出る人間がいなくてはならず、それを分かっていてついでにそっちの方が気分が良いという理由で加害者になっている。それで敵がどんどん増えるんです。
 ここで皆さんにも加害者採択をお勧めしたいのは、いくつかの条件に慣れてしまえばこちらの方が被害者ぶるよりも余程お気楽だからである。いくつかの条件というのは、叱責を受け流すずうずうしさ、起こっている問題の責任を引き受ける器、そして嫌われる覚悟を指す。最初の二つはいわゆる技術だからコツをつかめば難しくないが、嫌われる覚悟は人によっては難しいかもしれない。どうしても人に好かれていないと安心できないタイプの人間が世の中には確実にいて、それはもう変えようがないからだ。彼らは人に嫌われることを根源的に恐れており、それゆえ加害者になることができない。そういうつもりじゃなかった。だってどうしたこうした。何だかんだ言い訳を付けては自分から加害者のレッテルを引きはがそうとする。あまり潔くない態度だと思うし、キリハラと同じような印象を持つ人間はけっこういるから、上記のタイプは嫌われまいとする努力の中で一層嫌われて行く羽目になることもあるのだが、まあそれは別の話。大事なのは人に好かれることで自分を保つ人間は加害者になれず、それによって世の人々は加害者の才能がある者とない者に分けられることだ。
 賢明なる皆さんは被害者の地位に甘んじることをやめ、一刻も早く嫌われ者の汚名を被ってどんどん加害者になっていただきたい。俺が悪かった。お前の言うことはわかった。それじゃこうしよう。どんどん話を進めていこうじゃないか。そうすれば俗世間のくだらない諍いに割くリソースが多少なりとも減るだろう。余ったリソースは勉強にでも転用すればいい。寝たっていい。人を泣かしておいてそんなつもりはなかったなんて押し付けがましい台詞を吐くのはやめて、素直に表面上の負けを認めよう。そして裏でしめしめとほくそ笑もう。相手は被害者ぶれるし自分は思い通りに物事を動かせるし、一石二鳥である。
 加害者イコール嫌われ者みたいな構図で書いてしまったが、大体ニュアンスは伝わりましたかしら。それでは加害者的ウェブログ記4を今後ともよろしく。
| ふゆきょう対奴等 | 01:48 | comments(0) | trackbacks(0) |
デッドスターフィールド
Kid Spatula というわけで日本ハムシリーズは北の将軍北海道日本ハムファイターズがドラマのような勝ち方をして終わりました。みんなのアイドルSHINJOは八回の打席に入る辺りから泣きっぱなしで、正直センターに打球が飛んだらどうなるのかとヒヤヒヤもさせられましたが九回は内野ゴロ、ライトフライ、レフトフライと見事に彼を避けての締めくくりとなり、まあそういうところでも天運みたいなものを持っているのかも知らんと感心させられました。しかし彼のように華のある選手が引退してしまうのはとても惜しい。とは言え実際のところ足がボロボロでまともに走るのも辛いほどの体調ということだから仕方ないし、某野村さんみたく落ちる所まで落ちてフェイドアウトするように引退というよりは、スタメンで出られている時期に颯爽と去って行くのが格好良いとも言える。引退を表明したその年に日本一になれたというのもあって、最高の形で球界を後にすることができたのではないでしょうか。と考えればめでたいことである。阪神タイガースが出ていない日本シリーズなんて別に面白くも何ともございませんから、こういう一期一会的なシリーズになってくれたのはポストシーズンの楽しみが運良く増えてくれたということに他ならず、うんそろそろ素直に言おう、嬉しいですよ。
 そんでまあ今日は何もしていないので書くこともありませんですよ。世のブロガー共はどのようにしてお茶を濁しているのであろうか。写真でも貼ってコメント一言か。そんな糞食らえな記事に記4よりもたくさんコメントがつくのは何故だ。お化けが怖いのは何故なんだ。
 おおそうだ、ロケットで空を飛びまくる最高に気持ちのいい夢を見ました。曲がりくねった変な形の建物の合間を縫って色んな所に挨拶回りするのです。何で空飛んでるのにやってることは会社員みたいなんだって辺りは敢えて無視していただきたい。キリハラは挨拶に厳しい男なのです。朝職場に着いたら大きな声でおはようございます、周りがみんな残業しているのに定時で帰る時も小声で逃げるような真似はせずはきはきとお先に失礼します、仕事納めの日となれば職務に関わる方全員の所へ仕事中にも関わらず赴き今年一年お世話になりました、来年もよろしくお願い致しますなんてね。仕事納めの日なんかは夕方の三時を過ぎたらもうみんな気もそぞろ、仕事どころじゃなくて子会社の社長なんて自分のデスクで晩酌を始める始末。挨拶に行ったら「おうキリハラ君、いつうち来んだよ。もう机用意してあるんだから」とか恐ろしい提言を機嫌良くされてしまって、はははそうなんですか、あっはっは、笑うしかねえ。
 キリハラは子会社絡みの仕事をやっていましたからそちらの方々とは懇意でありまして、そうなると子会社側としてはお金に関する仕事だけをしてもらって人件費ベースの業務委託料を親会社に支払うよりはいっそ当人を引き込んでしまえば他の仕事もさせられるし人件費は安くなると一石二鳥だから、顔は笑って話しはするもののはっきり言って冗談でも何でもないのです。
 余計な事を書き過ぎました。
 全然関係ない話をします。ロボという人力トランスバンドの新譜が一曲五十五分の組曲構成で、盛り上がりが最後の五分しかないという切ない話を以前書きましたね。そのさい同時購入したスクエアプッシャーの新譜が、最初聴いたら素晴らしく感じたのに今となっては物足りなさが勝ってどうにも煮え切らない気持ちを抱え込んでおります。というのは、前作までの内にこもったサービス精神皆無な方向性からは脱しているのですが、一方でリラックスし過ぎている印象を与える代物でもあったのです。アルバムタイトルのハローエブリシングからもそれは窺える。お前が天才なのは重々承知しているから、おふざけは大概にしていただきたいというところです。更には一曲目のタイトルがハローミャオウ。日本語に訳すと「こんにちはだにゃ★」とでもなるのでしょうか。トムだし(※)。憎しみすら湧いてきます。
 ですから次作への期待が高まると言いますかさっさと次作れや!殺すぞ!ってなもんでして、今月の音楽ライフはあまり上手く行っておりません。
 しかしそれも明日から上向きに転じるのは間違いないのです。というのは大好きなジャムバンドであるメデスキ、マーティン&ウッドにギタリストのスコフィールドさんが加わったカルテットのニューアルバムが届くのです。これは試聴した段階で鳥肌が立つほどの出来でありますから、きっとキリハラの精神を十八次元の彼方へドライブさせてくれることでしょう。
 あと、敬愛する物書きさんが現代音楽で外れをひいたということなのでその分を取り返そうとクセナキスって方の作品集も買いました。ルーマニア生まれのギリシャ系フランス人なんですって。ややこしいね。アルバムに入っている楽曲の名前はフレグラ、ジャロン、ノモス・アルファ、タレイン、ケレン。何が何だか分からない。でも格好良い。キリハラ、ほぼ間違いなく小説の人名か地名に転用すると思います。
 何日か前の記事に「日本語文章の中でアルファベット単語を用いるのは気持ち悪い」というようなことを書いたので、今回は頑張って全部カタカナ表記にしました。褒めてくれ。

※:スクエアプッシャーの本名はトム・ジェンキンソン。
| 悪魔超人の食卓 | 23:43 | comments(0) | trackbacks(0) |
二木二木二木二木ニキフォロフ
西島大介祭り やあみんな、日本ハムシリーズの季節だねっていうかもう中盤に差し掛かっているね。日本シリーズだって?馬鹿言ってんじゃねえよ。今年は日本ハムによる日本ハムのための日本シリーズ、すなわち日本ハムシリーズなんだよ。何故かと言えば阪神タイガースがセ・リーグの優勝を逃したから。中日ドラゴンズなんていう華がない上に鼻持ちならない監督が率いてる球団はリーグ制覇止まりで十分じゃないか。そう思うだろう。思え。そうしてもらえないと話が進まないから。
 と、ここまで書いたところではたと筆が止まってしまった。やっぱり何も考えずに飛び出すもんじゃないね。しかし今さら消してやり直す気はさらさらないので無理矢理続けさせてもらうよ。はははっ!あ、今の町田康風笑いね。いしいしんじとの対談本で散々やっていたから多分本当にこんな感じで笑うのだと思う。はははっ!何か自嘲的だ。まあ町田さんは名前が町蔵だった頃から自分は腐れパンク歌手だと卑下して憚らなかった御方だから、芥川賞をとろうと何とか賞をとろうとコンプレックス体質は変わらないのかもしれない。確か今でもパンク歌手を自称していたはずだ。文章ばっか書いてるくせに。
 キリハラ先生の文章は一時期町田康のエッセイに影響を受けていたんだ。それは読点を多用し、トランポリンで跳ねるようなリズムでもって長文を綴って行く方法。例えば、今日なんかは雨も上がって昼過ぎには雲一つない秋空が現れたものだから、しばらく使っていない水着など引っ張り出し、ガタつく自転車を押さえ込んで、アスファルトを疾駆し、屋内プールに着くや入念なストレッチ、それが終わるとすぐさまブレストストロークに入り、五百メートルも泳いで足に疲れが見え始めるとウォーキングにシフト、爺婆ばっかじゃのうなんて一人ごちつつも久々に味わう水の感覚を楽しみ、塩素臭い身体になって、乾き切らない髪をなびかせ帰途についたのである。
 うん、大分違うな。最近町田康の著作を読んでいないから癖が抜けたのかも知れない。でも一度身に付けた癖が消えることは多分ないから、どこかに気配くらいは残されていると思う。読者諸賢は上の文から色々町田康の想像でもしてみれくれよな。無理か。だったら町田康の本を読めばいいじゃないか。
 そんでもって今日はキリハラ先生の給料日だったんだけど、六月半ばからまたもや長期休暇に入っている男に満額の給与が手渡されるなんてことはもちろんない。具体的に何割くらい入ってくるのかは秘密だ。何しろここは会社の同期が読んでいるかもしれないからね。もし同期に情報が伝わってしまって、おいそれなら働かねえで休んだ方がいいじゃねえかなんてことになったら大変だ。先生は怨みを買うし同期が広めた噂が周囲のモチベーションを落とすかもしれない。そういうことは避けておきたいから、ここもみんなの想像力にお任せしておこうと思う。
 まあ実際ほとんど入ってないんだけど。
 そんなわけで先生の台所事情はあまり芳しくない。というより財布の中身はもう減るばかりさ。少ない給料から生活費と奨学金返済分を支払ったら、いやこれ具体的にばらすとまずいから赤字か黒字かは言わないでおくけど、とにかくきついです。それなのに今日も本とCDをアマゾンで注文してしまった。人間の欲望には限りってものがないんだね。
 さて、ここで買った物について言及し始めれば記事なんていくらでも伸びる。でも今回はそうせずに内容がないまま締めてしまおうと思う。何でかっていうとそろそろ規定の字数に到達するからだ。
 記4は毎回長さを決めて書いている。今は四百字詰め原稿用紙に換算して四〜五枚というところだろうか。開始当初に比べるとえらい長くなったと思う。それだけ文章に関する力がついたということだろうか。多分違う。ちょっとしたコツをつかんだだけなんだ。何事にもコツというものがあって、それさえ手にすればパフォーマンスの平均値は格段に上がる。逆に、才能や持続力のない人間はコツをつかめずに四苦八苦する羽目になる。『煙か土か食い物』の中で奈津川四郎が言っていた通り、出来ない人間は呼吸すら上手く出来ない、そういうことじゃないかな。
 最後に話を日本シリーズに戻そう。今回の目玉は何と言ってもSHINJOの働きぶりだね。何しろ「試合が全部日本シリーズだったら四割打てる」と公言して憚らないお祭り男、ここまでの三試合でも十分な活躍を見せている。残り試合でどんなことをしでかしてくれるのか先生は楽しみで仕方がない。お前らもこんなウェブログ読んでる暇があったら早くテレビにかじりつけ!日本ハムを応援しろ!何故かと言えば阪神タイガースがセ・リーグの優勝を逃したからですよ。
| 悪魔超人の食卓 | 22:44 | comments(0) | trackbacks(0) |
逆接控えめで行こう
ダイスケニシジーマ 本日の東京は最低気温が十度近くまで下がったというのにうちの両親が経営する実家一階の喫茶店ではエアコンが謎のエラーを起こしてしまい機能不全であります。ゆえに暖をとろうと店に降りて行っても寒そうに小説を読む母上がいるのみで愉快なことは一つもございません。仕方なくフライング発売のマガジンとサンデーを読み、部屋にハロゲンヒーターを持ち込んでまたもやアニメ動画など見つつ、そうそうメルマガも消化しなきゃね、なんて言ってメーラーを開くもJALやらANAやらの広告メールしか届いていなかった。こういう時は読んでいなかったバックナンバーをまとめ読みするのがよろしかろうと思えども、低気圧のせいでなかなか食指が動きませぬ。レバノン情勢に関するメルマガが既に三十通程度たまっており、そろそろ読まないと一生積ん読状態になる危険性が出てきて困り果てることしきり。いやそんなに困りはしないか。どうだろう。新聞もニュースともまともに接する機会の少ないキリハラにとってメルマガは数少ない情報源でありますから、毎日内観療法のごとくに粛々とした面構えで相対せねばならぬところ、気がつけば一週間や二週間軽くさぼって世間から置いてきぼりをくらっている。こんなんじゃ一生立派な大人にはなれそうにありません。
 ところで連れがカナダに出かけております。今回はパックツアーを利用して専ら観光に専念する模様。今回というのは、以前連れの妹御がカナダでホームステイしており、彼女を尋ねて半月のにわかホームステイに出かけたことがあるのです。うんまあお前らはそんなことに関心ないよな。書きながら納得してしまった。キリハラも特に興味はありません。せいぜいメールの本文にアルファベット単語などを使うような輩にならないで欲しいというところ。
 それにしてもカナダ絡みの話が多い。友人はカナダに移住したし連れは旅行に行った。一年に二人もカナダに行っていれば多いと言っても過言ではないでしょう。みんなどうしてカナダに行きたがるのですかね。エスニシティに関して寛容な態度をとっている国だからだろうか。その点ではオーストラリアに留学したがる学生が多いのと似ているのかもしれない。ブラックやネイティブは差別されるにしてもイエローやアラビアンに対してあまり卑下の意識がない。このブラックやネイティブという辺りが一番の問題なのは置いておくとして、とりあえず日本人というだけで冷めた目を向けられることがないのはありがたいのでしょう。会社の同期もオーストラリアは居心地が良いと言っていた。カナダはフランス系とアングロサクソン系が共存している背景もあるから、尚更平等に近い扱われ方をするのかもしれません。どちらの国も英語圏田舎らしくて良いんじゃないかしら。
 そういう訳で連れと一切連絡がとれないものだから(欧州や中国韓国辺りなら携帯の海外ローミングなんてのもあるけど、カナダはやっていない)、これで悪さし放題だぜイエーなんてことも一瞬考えたりしたわけです。ところが五年も連れ合いをやっていると根っ子が悪さをしない方向を向き始めるようで、何か悪いことでもないかと探してみてもこれがなかなか見つからんのであります。で、とりあえず連れの話をウェブログに書いたりしている。ここを読んだら連れは怒るかもしれないから、一つは悪さができたかな。
 携帯で連絡がとれなくなると聞いてキリハラが思い浮かべるのは『ほしのこえ』というアニメです。コミカライズもされています。内容はというと、外宇宙の知的生命体が遺したらしき遺跡が火星だかどこかに見つかって、彼らとコンタクトをとるために戦闘用ロボットなどを載せた宇宙船が旅立って行く。主人公とヒロインは学校の同級生で友達以上恋人未満のような関係で楽しくやっていたのだが、彼女の方が第何次かの宇宙船に乗ることになる。二人を繋ぐのは携帯電話のメールだけで、それも彼女が地球から遠ざかるごとにどんどん到着までの時間がかかるようになって、最初は三十分一時間だったのが一日一週間一ヶ月、十年と二人は隔たれて行く。そんな隔絶の中、彼らはどう生き、決断を下すのか。
 コミック版はあまり人を選ばない絵ですし一冊で完結していますから、お暇な方は読んでみるのも良いかもしれません。連れは読んで泣いてました。まあけっこう涙もろい人だからね。
『ほしのこえ』は置いておくとして、皆様も風邪などひかず、逆接を多用せず、動詞を活用して素敵なオータムライフでもお送り遊ばせ。キリハラは布団にこもって小説でも読み倒します。
| 悪魔超人の食卓 | 23:24 | comments(0) | trackbacks(0) |
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