2009.10.21 Wednesday
九十八番に刺されて
こんばんは、天才作家志望です。名誉も地位もいらないから生活して行けるだけのお金を文章で稼げるようになる所存です。しかし天才ならば結構なお金持ちになってしまうかもしれませんし、それに伴って名誉や地位も手に入れるかもしれません。文章を読むのが遅いのに文学賞の選考委員に抜擢される可能性だってございます。たまったもんじゃねえ。それはさておき文章を読むのが速い方は老若男女問わずうらやましいと感じます。速読術にお金を払うほどではないけどそう感じます。具体例を挙げると、何度も当ウェブログに登場したキリハラの敬愛する文章書きさん、もう名前を挙げてもいいでしょう、高菜らいすちゃんが、ウェブログを訪れるにつけ恐るべき速度で本を読みまくっているようで、その度に戦慄してブラウザを落とします。しかもこの方、書くのもやたらと速い。速読速記。博覧強記。晴読書雨読書。読むのも書くのも遅いキリハラとしてはとてもいいなあなんて指をくわえるばかりであります。関係ないけど、しろー大野御大の漫画『しろー駄作劇場』にはスイエイ・ハヤーイという天才博士が出てきます。つまり速いってことは天才の証なのではないでしょうか。よく知らんけど。だとしたら遅筆遅読のキリハラは非天才なのかしら。考えると嫌になってくるので今宵も小説を載せてお酒を飲んで寝ます。この間、友人から「アル中に気をつけろ」とのメールを頂いたので控えめにします。ただでさえ胃が重いのに、肝臓までやられたら死んだも同然であります。 ちなみに胃が重いのはペプシあずき味を飲んだからだと思います。 以下、本文。実は前記事の改稿版ですが、構成から直すのは珍しいので両方掲載する次第です。これで丁度千文字。叩き台にして二千文字、四千文字バージョンを作ってみようと思います。読んでくれ。 九十八番に刺されて 廊下を走ってはいけない。そう校則の第二条に書いてある。理由は蜂達が興奮するからで、彼らが生徒を刺せば事故になる。けれど様々な理由から廊下を走る生徒は絶えず、時折悲鳴が校舎に轟き、或いは慌てて教師に取り押さえられる。 刺された相手が八十番台のスズメバチまでなら保健室に血清が置いてある。でも、九十番台、森を支配するムクドリバチの物だけは何故か存在せず、刺されれば大抵死ぬ。ムクドリの名を冠した彼らは大きく、鋭利な顎と針で静かに人間を威嚇しているように見える。 「イタル」 僕は幼馴染に名を呼ばれ、我に返った。 「円」 「あのさ」円は声を潜め言葉を継ぐ。「九十八番に刺されると九十九番になるって知ってる?」 九十八番はオオムクドリバチ、九十九番とは、何にも分類されていない漆黒の蜂を指す。最近、九十八番に刺されるとその黒い蜂に生まれ変わるという噂が流れている。 ムクドリバチがどうして森から出て来たのかは誰も知らない。森には蜂の王がいて財宝を貯め込んでいるという風説を真に受けた人達が森に押し入り、蜂達と戦争をし、そして負けた。それが今の状況を生み出したと聞くけど、定かじゃない。実際、鉢の王の存在は確認されていない。九十九番も単なる変種かもしれない。 とにかく九十番台を極力避けることが町で生きる人間の常識になっている。 「蜂と喋ったことないから分からないよ」僕は困りつつ答えた。 「うん」円は頷く。「でも、この間ミキが九十八番に刺されてさ、それから妙に私の傍をうろつく九十九番がいるんだ。何か私の周り飛び回ったり、目の前で止まったりして」 「恐いね」 小さく被りを振る円。「ううん、怖くない。不思議……」言葉を切り、一瞬躊躇った後、懇願するように囁く。「イタルは、もし私が九十九番になったら怖がらないでくれる?」 僕は答えられず、チャイムが鳴って彼女は自分の席へ戻った。 翌週、円は友達を庇って九十八番に刺され、病院に搬送されたが結局死んでしまった。 間もなくして教室に九十九番が一匹増え、僕の周りを飛ぶようになった。円が言った通り、目の前で何かを訴えるようにホバリングすることもある。 円と最後に言葉を交わした時、彼女は九十九番に情を感じていたような気がする。それは今の僕にはよく分かる。ただ、僕が九十八番に刺されることを好しとするか、結果彼女の元へ行けるのか、それは幸せなことなのか。答えはまだ出ていない。 |
こんばんは、天才作家志望です。名誉も地位もいらないから生活して行けるだけのお金を文章で稼げるようになる所存です。しかし天才ならば結構なお金持ちになってしまうかもしれませんし、それに伴って名誉や地位も手に入れるかもしれません。文章を読むのが遅いのに文学賞の選考委員に抜擢される可能性だってございます。たまったもんじゃねえ。それはさておき文章を読むのが速い方は老若男女問わずうらやましいと感じます。速読術にお金を払うほどではないけどそう感じます。具体例を挙げると、何度も当ウェブログに登場したキリハラの敬愛する文章書きさん、もう名前を挙げてもいいでしょう、高菜らいすちゃんが、ウェブログを訪れるにつけ恐るべき速度で本を読みまくっているようで、その度に戦慄してブラウザを落とします。しかもこの方、書くのもやたらと速い。速読速記。博覧強記。晴読書雨読書。読むのも書くのも遅いキリハラとしてはとてもいいなあなんて指をくわえるばかりであります。関係ないけど、しろー大野御大の漫画『しろー駄作劇場』にはスイエイ・ハヤーイという天才博士が出てきます。

