記4

ここは、わたくし(名)キリハラが新ふゆきょうの宣伝をしたり挫折したり
呪いの言葉をぶちまけたり誰彼かまわず攻撃したり
あなたと仲良くなったりするウェブログです。嘘ばかり吐いてゐる。ホ、ホ、ホ。
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ちゃんと言ってそこに書け
電卓 鼻の頭に吹き出物が出来て、相当広い範囲が真っ赤に染まってしまったせいで、父親から「何だそれ。俺を笑わせるためにやってんの。ハハハッ」などと笑われており非常に不愉快、一回休み。
 一回休みは本当で、『月曜日は最悪とみんな言うけれど』とレイモンド・カーヴァーは書いていたけれど実際最悪なのに加えて病気の発作が出たから仕方なく朝一で「今日は会社行けません!」と隊長に直談判したらば「それだけ元気なのにか」と問い返され、「行かない元気はあるンでえーッ!」叫んで切って折り返しの電話を無視して午後三時になってようやく発作が収まって来たので謝罪の電話を入れたら生憎九州の子会社のいつも席にいない現場主義と言えば聞こえがよろしい課長と電話中だったため悪の先輩が代わりに出て間を取り持ってくれたので何とか一件落着したとか書くと本当にキリハラが隊長相手に切れたり人を笑わせるために吹き出物(ニキビだっつってんだろ)を拵えたりしているように思う読者の方がいらっしゃるような気がして怖い。
 というのも、転職活動期に一旦書類選考でキリハラを落とした田町の端っこにある馬鹿な電子部品会社が見事求人に失敗して、無愛想なお断りのメールから一転、携帯電話に若くて気弱そうな女性が着信をよこし、虫のいい話とは思いますが一度面接に来て頂けませんでしょうかとか何とか抜かした際、「はあ、ほんと虫いいっすね」と答えたンだよってな話を大学の友人に酒の席で冗談めかして話したら、「お前、もっとね、普通の社会人としてね」みたいな苦笑混じりの返答をされたことがあり、勿論キリハラは上記のような返しをするほど社会的に無防備ではないのだが、周囲からはプライベートの態度が悪いせいで社会でもアウトサイダーをやっていると思われている節があるのか、バイト、就職、社会生活、人生等々について色々心配されることがある。ウェブログでは威勢のいいことを書いているキリハラもさすがに無礼な輩以外には非礼を働くことはせず、喩え無礼であっても出来る限りの礼は尽くすことを一応末端の社会人として心がけているつもりだが昨年末は出張関係で人事と揉めて、わずか二千円あまりの出張旅費を巡って人事部長と大げんかをやらかしてしまったことを考えればやはり友人に心配をかける類の人間なのかもしれない。旅費はきっちり振込でいただいた。振込手数料は!会社持ちで!お願いします!
 ところで明後日はキュートでクレバーでシャープで多少エキセントリックで、キリハラが愛して止まない友人とお茶会をすることになっている。なのにこのタイミングで鼻の頭がクリスマスのトナカイを彷彿とさせる状況なため今から大手百貨店の化粧品コーナーに出かけてコンシーラーを買って来るべきか非常に悩むところ、最悪絆創膏でも貼って行こうか悩みどころなのである。これが大嫌いな友人だったら適当にパーカーでも羽織ってだらしない格好で行けば良いのだけれどもね、大好きな相手だとこちらも多少格好をつけておきたいのです。何しろ、一の位を弾けばまだ二十歳の若人なものだから。
 以上、心が折れた。この先同じように書くと病気の告白だのなんだのになってしまいそうであるゆえ、以下は真名四拾八手に費やすこととする。しばらくはその形をとった方がバランス良く記事を編み上げることができるかもしれない。

 エアドロップ(駈)

 空を翔る病気がアウトブレイクしたのはマスメディアのせいだったと思う。空気感染するこの病気は人の細胞の中にヘリウムガスの泡を発生させ、同時に抗体も生成することで拒否反応を防ぐ二段構えの立派なものだった。病気に抗体が内蔵されているせいで罹患した人間は空を飛ぶ他に何ともしようがなく、医者はお手上げ、高圧電線には保護シートがかけられ人は空に道を造ることとなった。
 メディアは、特にテレビはやがて病気をポジティブに評価し始めた。人は機械の力を借りずともウイルスによる進化で空を手中に収めたと。うんざり顔の医大教授も少数いたが大半は病気を人類への福音ととった。
 中には病気に罹患しない者もいた。その原因は今でも特定されていない。僕もその一人で、クラスの三十九人が窓から教室に入る中、ヘリウムのない身体を引きずって階段を上り続け、皆の哀れみを買った。
 患者達は理解していなかった。人間は空を飛ばない。それを忘れないことが病気の被害を受けず、罹患もしない唯一の方法だったことを知らなかった。知ろうとしなかったと表現するべきかもしれない。閉鎖の螺旋に入った世界で、新たな力を得たという見方はあまりにも魅力的過ぎたし、それを止めるよう説得する権利は、ある意味誰も持っていなかった。
 病気はやがて治る。このポジティブな言論も敢えて無視された。誰もが不治の病を欲していたのだ。
 そうして空を飛ぶのが常識となった頃、ヘリウムの泡は一斉に弾け、翼を持たない人間は再び地に落ちて花を咲かせた。
 エアドロップと名付けられたあの病気は、人類を選別するために何者かが用意した罠だと一転糾弾され、今では定説として揺るぎない地位を確保している。
 けれど、誰も、自らの身一つで空を飛ぼうとした無責任さには触れていない。仮にこの状況をしかけたのが神や科学者だとしても、胴の下に二本の足がついている限り、高へ上るには歩みを重ねるのが当然の結論と言えるのではないか。皆もっと責任を感じるべきではないのだろうか。
 などとしたり顔で話すプラグマティストも大嫌いな僕には友達が一人もいない。
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