2008.07.03 Thursday
恋の始まりってやつぁ
午前中に成した仕事が一つもないどころか朝一で打ち合わせに上がった今週末締め切りの業務をどのようにして完遂すればいいか何のとっかかりもつかめないまま背中から這い上がってくる虫虫虫虫虫の恐怖と戦っていたら斜め後ろからキリハラを見下ろし食事がどうとか抜かす年下の男の子が目に入り、思わず「え?俺?」と一人称を間違えてしまう程うろたえ惚けた面のまま振り返ったら彼は何をか言わんやといった表情で頷き、約一ヶ月ぶりにランチへのお誘いをくだすったのだった。まともに誘ったら絶対に来ないと踏んでいたのか、女性の名前を挙げて「○○さんが行こうって言ってるんで、どうですか」と控えめな態度でもって喋り続ける同期(キリハラは中途、彼は新卒)の顔に焦点が合わないまま、しかし呆然となっている状態で皆様の会食をけがす訳にも行かないし、眠いし、何より食欲がなかったのでその旨伝えてお引き取り願ったらいつも通り寂しげな表情で去って行った。同じチームの先輩や課長は何も言わなかった。何故かというとキリハラの所属するチーム、元は別組織だったのが現部署に吸収された、言わば外様の連中は基本的に一人で昼食を平らげる習慣があるのであって、隣に座っている先輩などはカップヌードルをすすると同時に空いた手でいらん通知文書を打っており、課長もおにぎりをぱくつきながらソリティアだのマインスイーパに精を出している。別のチームから異動してきた二十代後半の豚野郎だけは率先して出て行くのだが、きっと出先でご飯を大盛りにしているに違いなく、だから蘊蓄豚などとキリハラに陰で笑われる。それは嘘。豚なのは事実。毎日三リットルもの水を飲んでいる健康家にも関わらず胴体が柔らかいエアーズロックよろしくこんもり盛り上がってその奥にある限りない脂肪を想起させる二十代後半で入社五年目で勉強熱心で理屈っぽくて話が長くキリハラの目を決して見ない男。俺、こいつ大嫌い。大嫌いはやや嘘で、業務知識だけは豊富だから先輩の機嫌が悪い時に利用するだけさせていただいている。言い換えればキリハラの知識が塵芥程度のものでしかないことに他ならず、しかもここ一ヶ月余りの間にすっかり仕事への情熱を失ってしまったこの男は率先して質問もせず業務本も読まず、仕事メモの量も明らかに減った。それでいいのか問われればきっと良くない。多分一面でのモチベーション低下は他の分野にも波及する。けれど文章にリソースを残しておくため昼間の業務を適当にやり過ごすと考えれば真っ当なモチベーション低下にも見えないことはない。では何がいけないのか。ここ数日思い悩んでみた結果、業務に関しても十人並みの社会人振りを自分に求めているからであろうという結論に達した。つまり、キリハラの本分は文章を書く所にあるのだから仕事先では最低限の労力しか使わずにおいて、付き合いが悪いだの変人だの後ろ指を差されようとも素知らぬ顔でローコストオペレーションを実施し、窓際族として定時まで過ごしたらばやっと一日が始まるぜひゃっほうと喜び勇んで新型iMacワイド画面と共に来るべき賞への応募作品を作り上げるのが正しいのに、現実を観るとローコストまでは実施しているもののそこに付随するネガティブな評価にそっぽを向けずいっちょまえに苦しみを覚える始末という訳である。要するに贅沢なんである。分不相応なんである。それで心身ともパンクするのだから間抜けと呼ぶ他ない。一人の人間に込められたリソースは無尽蔵なものではなく、時間が特別融資枠で一日一万時間与えられることもないのだから、諦めるべき部分は諦め、嫌な物事は受け流し、笑って誤摩化しながら人生の照準を明確にしてゆく必要がある。そういう訳で、同期の新卒様が何と言おうと今後ともランチミーティングに参加する気はなく、特に新人歓迎会で初めて顔を合わせた瞬間から無限駄目出しを食らわしてきた女傑、彼女も普段はサンドウィッチ片手にスパイダソリティアを一所懸命こなしているのだがそれはさておき、そんな方と昼食に出かけたら何を言われるか分かったものではなく、今や諦めた町の住人であるところのキリハラもストレスを溜めずにはいられない可能性が高いため、いつもにも増してはっきりと断りの言葉をお返しした次第。協調性も社交性もどんどんなくなり、加速度的に立場が失われる。そうやって周囲と断絶することが小説執筆にポジティブな効果を及ぼすとはとても思えず呻吟、ベッドの上を転げ回って羽毛布団を踏みつぶして、そういやもう夏だからそろそろ布団は日干ししてから圧縮袋に放り込まねばならねえけど足下が冷たくなった時に備えてベッドの脇に畳んで置いておき、夜中は足先だけ入れられるよう備えておくのがよろしいと思い直してファブリーズをしこたまかけるにとどめている。夏は近く、気が短い。入道雲の機嫌を損ねないうちに苗場辺りへ繰り出し大好きなマイス・パレードのライブを観賞しながら麻ビールや麻カレー(※)をほおばることを夢見つつ、今日も背中の悪寒と共生し続けている。※:官憲対策表現。 |
午前中に成した仕事が一つもないどころか朝一で打ち合わせに上がった今週末締め切りの業務をどのようにして完遂すればいいか何のとっかかりもつかめないまま背中から這い上がってくる虫虫虫虫虫の恐怖と戦っていたら斜め後ろからキリハラを見下ろし食事がどうとか抜かす年下の男の子が目に入り、思わず「え?俺?」と一人称を間違えてしまう程うろたえ惚けた面のまま振り返ったら彼は何をか言わんやといった表情で頷き、約一ヶ月ぶりにランチへのお誘いをくだすったのだった。まともに誘ったら絶対に来ないと踏んでいたのか、女性の名前を挙げて「○○さんが行こうって言ってるんで、どうですか」と控えめな態度でもって喋り続ける同期(キリハラは中途、彼は新卒)の顔に焦点が合わないまま、しかし呆然となっている状態で皆様の会食をけがす訳にも行かないし、眠いし、何より食欲がなかったのでその旨伝えてお引き取り願ったらいつも通り寂しげな表情で去って行った。同じチームの先輩や課長は何も言わなかった。何故かというとキリハラの所属するチーム、元は別組織だったのが現部署に吸収された、言わば外様の連中は基本的に一人で昼食を平らげる習慣があるのであって、隣に座っている先輩などはカップヌードルをすすると同時に空いた手でいらん通知文書を打っており、課長もおにぎりをぱくつきながらソリティアだのマインスイーパに精を出している。別のチームから異動してきた二十代後半の豚野郎だけは率先して出て行くのだが、きっと出先でご飯を大盛りにしているに違いなく、だから蘊蓄豚などとキリハラに陰で笑われる。それは嘘。豚なのは事実。毎日三リットルもの水を飲んでいる健康家にも関わらず胴体が柔らかいエアーズロックよろしくこんもり盛り上がってその奥にある限りない脂肪を想起させる二十代後半で入社五年目で勉強熱心で理屈っぽくて話が長くキリハラの目を決して見ない男。俺、こいつ大嫌い。大嫌いはやや嘘で、業務知識だけは豊富だから先輩の機嫌が悪い時に利用するだけさせていただいている。言い換えればキリハラの知識が塵芥程度のものでしかないことに他ならず、しかもここ一ヶ月余りの間にすっかり仕事への情熱を失ってしまったこの男は率先して質問もせず業務本も読まず、仕事メモの量も明らかに減った。それでいいのか問われればきっと良くない。多分一面でのモチベーション低下は他の分野にも波及する。けれど文章にリソースを残しておくため昼間の業務を適当にやり過ごすと考えれば真っ当なモチベーション低下にも見えないことはない。では何がいけないのか。ここ数日思い悩んでみた結果、業務に関しても十人並みの社会人振りを自分に求めているからであろうという結論に達した。つまり、キリハラの本分は文章を書く所にあるのだから仕事先では最低限の労力しか使わずにおいて、付き合いが悪いだの変人だの後ろ指を差されようとも素知らぬ顔でローコストオペレーションを実施し、窓際族として定時まで過ごしたらばやっと一日が始まるぜひゃっほうと喜び勇んで新型iMacワイド画面と共に来るべき賞への応募作品を作り上げるのが正しいのに、現実を観るとローコストまでは実施しているもののそこに付随するネガティブな評価にそっぽを向けずいっちょまえに苦しみを覚える始末という訳である。要するに贅沢なんである。分不相応なんである。それで心身ともパンクするのだから間抜けと呼ぶ他ない。一人の人間に込められたリソースは無尽蔵なものではなく、時間が特別融資枠で一日一万時間与えられることもないのだから、諦めるべき部分は諦め、嫌な物事は受け流し、笑って誤摩化しながら人生の照準を明確にしてゆく必要がある。そういう訳で、同期の新卒様が何と言おうと今後ともランチミーティングに参加する気はなく、特に新人歓迎会で初めて顔を合わせた瞬間から無限駄目出しを食らわしてきた女傑、彼女も普段はサンドウィッチ片手にスパイダソリティアを一所懸命こなしているのだがそれはさておき、そんな方と昼食に出かけたら何を言われるか分かったものではなく、今や諦めた町の住人であるところのキリハラもストレスを溜めずにはいられない可能性が高いため、いつもにも増してはっきりと断りの言葉をお返しした次第。協調性も社交性もどんどんなくなり、加速度的に立場が失われる。そうやって周囲と断絶することが小説執筆にポジティブな効果を及ぼすとはとても思えず呻吟、ベッドの上を転げ回って羽毛布団を踏みつぶして、そういやもう夏だからそろそろ布団は日干ししてから圧縮袋に放り込まねばならねえけど足下が冷たくなった時に備えてベッドの脇に畳んで置いておき、夜中は足先だけ入れられるよう備えておくのがよろしいと思い直してファブリーズをしこたまかけるにとどめている。夏は近く、気が短い。入道雲の機嫌を損ねないうちに苗場辺りへ繰り出し大好きなマイス・パレードのライブを観賞しながら麻ビールや麻カレー(※)をほおばることを夢見つつ、今日も背中の悪寒と共生し続けている。
生まれつき愛想がなくぶっきらぼうなのに加えて他人様の神経を逆撫でするのが得意かつ大好きらしく、行く先々で敵を作りやすい、敵を作ることが多い、ていうか敵作るのほんと上手いよね、そのうち刺されて死ぬなどと言われては土下座して詫びを入れている。最後の台詞は社会に出てから三回ほど頂いた。しかし刺されるとか殺されるとか殴られるといった脅し文句を吐く連中はその実自分で刺す度胸がなく、気分が悪くなる以外にこれといった実害を加えられたことは今までのところない。むしろ凶悪なのは暴力よりも被害者面をして必要以上に傷つかれたり悪い噂を広められたり最悪縁を切られたりする方である。被害者は得てして自分が事の全てを知り尽くしているような勘違いをするし、そうなると味方の多寡によって情勢が決まってくるため、人望がなく友達も少ないキリハラは性根の悪い加害者と見なされ限りあるネットワークを更に狭める結果となるのが九割方、たまに味方が付いたかと思うとその人はいざこざの外側にいたりして何の役にも立たない。
ここ一ヶ月の間に目出たき事、耐え難き事、脱力せし事、泣きそうな事などなど、怠け者なりに多くのイベントがあったのだが、それらが人生観だの人格だの顔つきを変えるといった結果に結びついたかと言えば答えはノーであり、むしろストレスフルな環境の中で生まれつき持っていたと思われる愛想のなさやらサボリ癖やら寝逃げでリセット!なんてしょうもない処理ばかりが表立ってきて、いくつかの山を越えて手に入れたものは強化された自我などではなく幼稚さに過ぎないとしみじみ回顧していたのが昨日一昨日だったか、今ではそれすらもう忘れて、巨大なるiMac二十四インチフラット液晶ディスプレイに見入るばかり、毎朝毎晩立ち上げるたびに既存の壁紙では用をなさない千九百×千二百ピクセルのワイド画面に驚かされ、買うまで知らなかったファンレス構造に不安を抱き、あまりにも薄っぺらなマイティキーボードの意外な好感触を楽しんでいて、文章には全然手を付けていなかったのが、「もう夜中だから明日に備えて寝てしまおう」の一言で簡単に逃げ出す自分にいい加減嫌気がさしたのか、文章から離れているだけで体中に濡れた砂利がたまってゆく不愉快な感覚と付き合うのに疲れたのか、はたまた理由が出来たのか、前の記事から一ヶ月以上を経て、やっとこさロリポブログの執筆画面と向かい合う覚悟を決めた。
時々黒子が増えている。腕や手首や首筋や胴体など、場所を選ぶことはない。一昔前は指先を怪我するたびにその跡が黒子と化して、怒り狂って安全ピンを持ち出し皮膚を抉るなど日常茶飯事だった。神経症患者の自傷行為みたいで今振り返ると少し恥ずかしいが、身体中が黒点にまみれて有害な熱線を周囲にまき散らすことを考えれば妥当な選択だったようにも思える。
父親によく似ていると言われた。のはもう半月も前の話になる。地元のジガースポット。あらゆる酒を必要以上に高い値段で出してくれるため、飲み会帰りの酔い覚ましに一杯なんて気分でラフロイグを頼んだついでにあれもこれもと元々高いシングルモルトウィスキィにかまけていたらいつの間にやら五千円でも利かなくなっている。その辺の居酒屋で友達とたらふく飲み食い、三〜四時間居座るか、もしくは女友達と連れ立ってちょっと瀟洒なお店でワインのボトルを入れたりすると大体五千円を記録する。先週初めて行った合コンでもそれと大して変わらない会計だった。となればショットグラス三杯におつまみで万札を出さなければいけないってのは相当な値段なのではないだろうか。
今年のゴールデンウィークは見事な飛び石連休だったうえメインの三連休が土日にかかってしまい、大型と呼べるんだか呼べないんだかよく分からない宙ぶらりんの状態が一週間あまり続いたという見方をした方がよろしいように思える。前職ならば間の平日に閑散期の休日や土曜日を振り替えて無理矢理十一連休を造ってしまうところ、現在通っている仕事先は意固地なほどにカレンダそのままの休暇をとっているため、キリハラに福音が下ることはなかった。しかしながら最初の土日から昭和の日にかかる平日を自主休日として部屋にこもって過ごしたこともあって、四、一、四の間に一日ずつ出勤日が入るだけと、ある程度のまとまりは得られたと言えないこともない。四、一、四なんて書くとフッチバルのフォーメーションみたいでちょっと嬉しい。バックラインが四人でフォワードも四人、中盤をすっとばしたKUNIMI高校スタイルのロングボール放り込み戦術で、ミッドフィルダは一人退場済み。セカンドボールへの対応に人数を割けば、雑魚相手ならそこそこ機能するのではなかろうか。というか雑魚相手ならなんて留保を付けている時点で戦術とは呼べない。そもそもスポーツ好きにしか分からない話でごめんなさい。もう少し続けます。

